趣味性を煮詰めた、唯一無二の一眼レフカメラ pentax kp
フルサイズからAPS-Cへ
しばらくフルサイズカメラをメインに使っていましたが、レンズは高額で重いしそもそもフルサイズセンサーの必要性を感じなくなったのでAPS-Cカメラに乗り換えることにしました。
富士フィルムのカメラも持っていましたが、バッテリー持ちの観点から乗り換えを決めました。
ペンタックスへ
そして自分は逆張りが好きという面倒な性格の持ち主。というわけでマイナーなメーカーであるpentaxに白羽の矢が立ちました。
近年ではAPS-Cセンサーでありながらフルサイズ機並みに広いファインダーをもつk-3 MK3を展開したり、モノクロ写真専用機を売り出したりと趣味性を突き詰めたカメラ開発が多いpentax。
自分の想像ですが、もしかしたら一眼レフ界の leicaを目指しているのかもしれない!!
pentax kpの利点
- 一眼レフのためバッテリー持ちが良好(アイドリング時が超低燃費)。逐一電源切らなくてもOK
- フィルム時代のマウントを維持しているため、オールドレンズもそのまま使える
- 交換レンズが安い
- キレのあるシャッター音と上質な操作感、剛性感で所有欲が満たされる
- 本体に手振れ補正を内蔵している割には、コンパクト
- ライブビューも快適。コンデジ感覚で使える
- フルサイズ顔負けの高感度耐性
- 特徴的なデザイン
- userモードがずば抜けて使いやすい
- フルサイズカメラのeos6dと比べても白飛びのリスクは同等と感じる
- ただの廉価版ではなく独自路線を走るカメラで、細部までしっかり作りこまれている
欠点
- 一眼レフ+手振れ補正内臓のため本体重量は700g台とそこそこ重い
- 動画向きではない(そこそこ使える)
- 本体モーターの動作音が爆音(モーター非内蔵のレンズを使用時)
- フルサイズと比べるとファインダーが小さめ
- 動体に対するAF精度は他メーカーと比べると弱いらしい……(当方は風景しか撮らないので不満無し)
- ライブビュー切り替えがスイッチ式。指を大きく移動させる必要があるのでボタン式のほうがよかった
- 小型のバッテリーのため、ライブビュー撮影をすると残量がみるみる減る
外観
ペンタ部が印象的な正面顔
古いレンズにも対応させるため本体側にも内臓モーターを搭載。
レンズ付近が出っ張っているように見えますが、全体的にコンパクトであることも影響していると思います。
無駄な贅肉をそり落とした、ソリッドなデザイン。キャノンやニコンは流線形というか、おにぎりのような筐体であまり好みではありませんでした。
個人的にはこのカクカクしていて、すっきり整ったデザインが好物。(α7のデザインが好きという方にもおすすめ)
文庫本と比較
もちろん厚みはありますが全体的に非常にコンパクト。鞄の収まりがいいため、単焦点レンズと組み合わせればお散歩カメラとして活躍間違いなし。
グリップも交換可能。今回装着しているのはLサイズ。
単焦点レンズが多い方はSサイズがおすすめです。
表面は貴金属などの装飾品にも施される梨地塗装。
指紋も目立つことなく、手触りもサラサラしていてきもちいい。撫でたくなる……
また各種ダイヤルやボタンも操作感が最高。
カチカチ、スチャッ
ボタンも適度な抵抗感、しっとりとしたクリック感。指がかかる部分にはゴムが使われており、吸い付くような感覚。
一時期新品8万円台で販売されていたとは思えない出来……。
pentaxのuserモードの使いやすさは異常
たとえば絞りダイヤルを動かすとAVモードような動作をします。そしてシャッタースピードダイヤルを操作すると今度はTVモードのような動作をする。
状況が刻一刻と変化するような場面だと超便利
これがpentaxのハイパーマニュアルか……
グリーンボタン
再生ボタンの上部にある緑色のボタン。こちらを押すだけで測光をしてiso感度に合わせてシャッタースピードを自動算出してくれます。
マニュアルレンズを使う時に非常に便利。
装着可能なレンズであれば後述するファインダーの見やすさも相まって、最強のオールドレンズ母艦となりえます。
ペンタックス機では数少ないチルト液晶搭載
上下に軽い力で展開できるため素早くローアングル撮影などに移行できます。
ファインダーはキレがよくピントが非常に見やすい。
MFレンズでも快適に使えます。
個人的にミラーレスカメラで拡大して使うよりも、全体を見ながらピント合わせができる本機のほうが使いやすい。
ピントアシスト機能で合焦すると音で知らせてくれますが、それがなくてもピント合わせは容易
これはフルサイズカメラK-1が欲しくなるぅ……
ペンタックス機も富士フィルムに負けないくらい優秀なカスタムイメージを持っています。
銀残しやリバーサルフィルムなどはペンタックスでしか味わえない、個性的なイメージ。
リバーサルフィルムの作例
全体的に色が濃い目に出ます。
全体にフィルターがかかるような処理ではなく、対象物から捉える光ごとに彩度を加えるといった現像をしてくれます。
なので白は白として表現してくれます。被写体を選ばない、汎用性の高いカスタムイメージと思います。
このような暗いシチュエーションだと黒潰れを起こしてしまって、安っぽい写真になりがちです。
でもこのカスタムイメージはシャード部の彩度を上げすぎないように調整してくれるため、情報量が多い作品を生み出します。
WR(防滴)レンズと組み合わせれば、雨天ならではの景色も残すことができます。
実写
pentaxのオールドレンズ50mm f1.7で撮影
いわれなければ古いレンズとはわかりませんよね。
侮れないオールドレンズ。
高感度耐性
APS-Cセンサーながらiso819200まで対応しているKP
この数値だけ見ると一部フルサイズカメラを凌駕しますが、普段はそのような感度に設定することはありません。
使用頻度が高い3200,6400,12800に注目してみると事情が変わります。
以前高感度モンスターといわれるα7sを使った経験もありますが、やはり「APS-C機の中では優秀」が妥当な評価だと思います。
iso3200まではかなり不満なく使えますが、6400からノイズが目立ちます。
(α7sは12800までほぼノイズが気にならない)
個人的にはノイズを全否定するつもりはなく、機種によってはフィルムのような粒立ちを連想させる綺麗なノイズを出すカメラもあります。
このタイプのノイズについては肯定的。
しかし色が破綻する傾向があるノイズには否定的です。
KPはこの色が劣化するようなノイズが6400から目立つ、というのが個人的見解です。
被写体によりますが派手な色が画角の広範囲を占める場合、色劣化が気になります。
同社のフルサイズにk-1がありますが、おそらく6400辺りの感度だとkpの負けだと思います。
ただpentaxは5軸手振れ補正内臓なので、6400まで使う機会が稀なのが救いですね。
まとめ
最新のレンズだけではなく、グリーンボタンやピント合わせしやすいファインダーでオールドレンズにも適した完成度の高いカメラでした。
あまり話題にならないのが逆に不思議、というのが率直な感想。
特に触った感触としてはこれまでのカメラとはレベルが違うなと思いました。
富士フィルムのXT-1はボタンがカチャカチャしていておもちゃ感が漂っていました。
canonのeos6dはボタンの感触がイマイチで、シャッター音もなんだかこもった音。塗装もプラスチック感を感じました。随所にコストカットを感じる……
もちろんどちらのカメラもスペック的には優れた点が多いので、単純比較はできないですが、工業製品的な完成度はペンタックスがリードしているなと感じました。
さすが一眼レフカメラの先駆者だなと思います。
→新品はぼったくり価格(20万越え)なので中古がおすすめ