フルデジタルアンプが奏でる、高解像度な音質、ハイパワーなヘッドホンアンプ denon da-310usb
ポータブル環境を整えていくと自然な欲求として芽生えるのが、据え置きアンプへの憧れ。ワンランク上の音楽体験ができるのではないかという欲望です。
ポータブル機器はどうしてもバッテリー駆動というハンデを背負っているため、一部機種を除きヘッドホンを十分に鳴らしきるほどのパワーがない場合があります。
その弱点をバランス出力によってカバーしていますが、イヤホンごとにバランスケーブルを揃えなければなりません。
またバランス出力は機種によっては分離感が強すぎて、苦手という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで据え置きアンプの出番です。
アンバランスで濃密な音に浸りたい方にお勧めなのがこのdenon da-310usbです。
もくじ
denon da-310usbの利点
- フルデジタル回路で高解像
- 金属製の外装と有機ディスプレイでシックなデザイン
- ギャングエラーはほぼない
- 3段階のゲイン調整可能
- 豊富な入力端子に対応
- 縦置き、横置きが可能
- 卓上サイズでコンパクト
- 操作感は滑らか
- 据え置きならではの高出力で低能率のヘッドホンも鳴らしきる
- 細かい音量調整が可能
- スピード感がある音傾向でアニソンなどに最適
- 中古価格が3万円台で入手しやすい
デメリット
- 出力先の切り替えスイッチがない
- バランスヘッドホン端子非搭載
- RCA出力の音量は固定(音量調整不可)
- 感度が高いイヤホンだとホワイトノイズを感じる
- ヘッドホンとRCA出力は排他(同時出力不可)
- 有機ELディスプレイの焼き付きが発生しやすい
- 本体が軽いので、プラグが抜きにくい
- ヘッドホンの相性によっては高音が刺さる
外観
側面には黒のプラスチックのような素材、天板と底面は金属製。分厚い外装でサンドイッチ。
a〇〇le製品と見間違えそうな程スマートなデザイン。
横置きにすると天板が丈夫なので物も置くこともできます。狭い机に置く場合には非常に便利。
本体が1.5kgと軽量なので、プラグの抜き差しをすると本体ごと動いてしまいます。手で押さえながら抜かないといけないので面倒でした。
電源はプラグとの一体型になります。社外品の高出力なアダプターに変更すると音が良くなるらしいですが、試していないのでわかりません。
正面は有機ELディスプレイと電源ボタン、音量調整ダイヤルとシンプルな構成。
また入力先の設定とゲイン調整ができるタッチセンサーが2か所あります。
有機ELディスプレイは自動回転するので縦、横置きどちらも利用できます。
ただし常時点灯なので焼き付きが起きやすいです。たまにドットか欠けて表示されることもあるので、耐久性は微妙。
せめてディスプレイだけの自動消灯機能があれば、この機種の価値はもっと高くなったと思うのですが…残念です。(電源の自動OFF機能はあります。)
残念ポイントとしてはバランス端子が非搭載である点と出力先の切り替えスイッチが無いこと。
DAPではバランス接続を使う方が多いと思いますが、端子が違うため接続できません。別途イヤホンかヘッドホンを用意することになります。
ヘッドホンアンプを名乗るのであれば、音質というよりは利便性向上のためにバランス端子は搭載してほしいと思います。
またヘッドホンを接続しているとスピーカーから音が出なくなります。いちいちプラグの抜き差しをさせられるのは地味に面倒でした。
背面は入力端子が豊富です。USB端子があるのでPCとの接続も付属のケーブル一本で完結します。
ちなみにwindowsについては専用のドライバーを当てる必要があり、ホームページからダウンロードできます。(windows10と表記されていますが、windows11でも利用できました。)
スピーカーにつなぐ場合は音量調整機能付きのアクティブスピーカーが必須です。正面の音量調整回路を経由しない設計なので、最大音量が固定で出力されます。
また接続には別途、ケーブルの購入が必要になるのでご注意ください。
音質
デジタルアンプということでホームページでも宣伝されている通り、高解像でスッキリとした音質です。
主に高音域の伸びが印象的でした。低音域もパワーと解像力があり、他の音域を潰さない程度に鳴らしきってくれます。沈み込むような、迫りくる低音を期待する方にはオススメできませんが、そうでないなら丁度良い質量だと思います。
こういった傾向から、アニソンなどのハイテンポな曲と相性が良いと思いました。
ウォークマンもデジタルアンプ搭載機ですが、パワーについては段違いです。
当機はアンバランスのみですが、DAPのバランス出力かそれ以上のパワーがあると感じます。
ドライブ力という面ではさすが据え置きアンプだなという印象。最近だとcayinのru7やsr25MK2など使いますが、一番パワーを感じるのはこのda-310ですね。
鳴らしにくいヘッドホンの代表格であるATH-R70xもハイゲインにすれば問題なし。
ギャングエラーについては気になりませんでした。ゲイン調整ができるので音量を極端に絞る必要がなかった、というのも理由。superiorという感度高めのイヤホンでも音量調整については不満無しでした。
ヘッドホンの相性によっては聞き疲れするかもしれません。AKGのK712の場合高音が強調される傾向があり、長時間聞くと疲れを感じるときもありました。
まとめ
利便性という面では微妙な評価になりますが、音質については「さすが据え置き機だ」といえるほどの実力を持っています。
もともと7万円台ということもあり音質面では文句なし。
デザインもアルミを採用することで高級感があり、サイズもコンパクトなので狭い机でも設置できます。
中古価格を考慮しても、初めての据え置き機の一台としては非常に優秀だと感じました。
最近ではfiioからお手頃価格のヘッドホンアンプが発売されていますが、デジタルアンプの本気を体感してみたい方はこの機種を入手されてみてはいかがでしょうか。